
物件購入後にはさまざまな手続きが必要
物件を買っただけでは、住まい手は生活できません。入居者が安心して暮らすためには、オーナー側が行っておくべき契約手続きがいくつかあります。
個人の住宅とは違い、アパートは建物全体や共用部分に関する契約はオーナー側で行い、各部屋で使用する分は入居者が個別で行うのが一般的です。
物件購入前後に行う付随契約としては、次のようなものがあげられます。
• アパート賃貸管理契約
• ガス
• 電気
• 水道
• 火災保険
• ケーブルテレビ
• 敷地内に電柱がある場合
• 浄化槽管理・汲み取り
• リース契約
• エレベーターの保守契約
物件購入契約前に、前オーナーの契約状況を知っておくが良し
管理会社や電気、水道、ガス、火災保険については、物件購入後自分たちで契約が必要だと考えていましたが、その他の契約については、私たちはあまり重要視していませんでした。
手 付金を支払う当日、不動産会社から重要事項説明を受けたのですが、その時にはじめて「ケーブルテレビ契約は引き継いでほしい」という話を受けました。物件購入直後はさまざまな契約手続きで忙しくなります。できれば売買契約書を取り交わす前に、付随契約について、できる限り前オーナーの加入状況を教えてもらっておきましょう。
私たちが実際行った物件に付随する契約について
私たちは、アパート購入後に以下の契約を行いました。
不動産会社が名義変更してくれた契約:
電気
電気会社はすでに大手の電力会社と契約されており、変更する予定がなかったので、不動産会社が私たちに代わって名義変更手続きをしてくれました。
私たちで手続きした契約:
・アパート賃貸管理
・プロパンガス・水道
・火災保険
・ケーブル テレビ
上の5つの契約手続きを行いました。
アパートの管理契約については、前回の記事(ア パート経営をスムースにスタート!管理会社選定のコツと注意点)を参考にしてください。
今でも継続を悩むケーブルテレビ
前述した、重要事項説明の際に伝えられたケーブルテレビの継続。継続の理由は、入居者の中でケーブルテレビを見る人がいたためでした。当時は、物件を購入することで頭がいっぱいだったので、「そういうものなのだな」と思い、気にしていませんでした。急にケーブルテレビ代を入居者から請求するとクレームになったり、退去されたりする可能性がありますし、入居者 側からすると、タダでケーブルテレビを視聴できるのはメリットです。部屋探しをしている人からみても、魅力的なサービスかもしれない...ということで、当面は私たち大家側で負担することにしました。
月の収支をつけ始め、家賃収入から意外と多くの経費がかかるということがわかり、コスト意識を持ちはじめた私たちは、ケーブルテレビ契約の毎月の支出を、物件購入のタイミングで見直せばよかったと感じています。
ケーブルテレビ契約は建物につき月4,000円ほどです。わずかな金額と思われるかもしれませんが、年間では48,000円の収入の差が出てきます。ちりも積もれば山 やまとなります。微々たるものとしてスルーせずに、しっかり検討しておくことは、決してマイナスにはなりません。
ケーブルテレビは現在もまだ継続していますが、 オーナーチェンジの際にケーブルテレビをやめて、インターネット無料にすればよかったかな、というのが正直なところです。前オーナーさんの時と違い、今はケーブルテレビは入居先に選ばれる理由にはならないのでは...と感じています。
ガス会社はアフターサービスがいいところがオススメ
ガス会社についても、ケーブルテレビ契約同様、売買契約時に前オーナーから「できれば今契約している地元の業者で継続してほしい」とお願いされました。しかし、継続は必須ではなかったので、要検討とさせていただきました。
アパート管理開始後は、前オーナーのガス会社でいったん継続しましたが、2ヶ月後くらいに別会社に変更しました。
私たちが購入した物件近辺は都市ガスが通っていないため、プロパンガス会社との契約が必要でした。プロパンガス会社は、会社によって値段やサービスの差が大きいのが特徴的です。
私たちは、全国に支店がある大手ガス会社を選びました。物件を売り出していた不動産会社が紹介してくれたのがきっかけです。サービス内容を聞いたところ、修理や定期的な点検などのアフターサービスがしっかりしているのはもちろんのこと、契約時のサービスがとても良かったので決めました。
契約時のサービスとは、具体的には、
• 給湯器を新品交換(12世帯分)
• エアコン新品交換(12世帯に1台ずつ)
• テレビインターホン(12世帯分)
• 追い焚き(12部屋分)
を、無償で提供してくれるというものでした。
ガス会社を変えるだけで、こんなにたくさんのサービスがつくのは、初心者オーナーとしてはありがたい話です。
ちなみに、このようなサービスは現在行われていないと思います。ガス会社が顧客の取り合いのために過剰なサービスをしてきたことに対し、国がメスを入れたからです。
ガス会社が設備やサービスを無償で提供してくれている場合、このお金はいったい誰が支払っていると思いますか?
実は、この費用は入居者のガス料金に含まれているのです。今までは、ガス料金の内訳の記載に関して規制がゆるかったので、入居者には「ガス料金」としか知らされていません。
しかし、2025年4月からは料金の内訳を詳細に記載しなければならなくなります。さらに、2025年4月以降にガス契約をしたオーナーは、入居者から設備費用などを請求できなくなるのです。
私たちの物件については、「会社を変えることで、入居者さんのガス料金が上がらないようにしてほしい」と、夫が切り替え後のガス会社に伝えていました。そのため、無償で提供してくれている給湯器などの費用は、現在ガス会社が負担してくれています。
この記事を書くにあたり、ガス会社に今後の費用負担がどうなるかを担当者に聞いたところ「とてもナイーブな問題となっており、社内で慎重に進めています」と回答されました。
中古物件を購入する場合は、売主がどのようなガス会社とどのような契約をしているのか、特に注意して確認しておくことをオススメします。
まとめ
アパート購入後は、電気やガス、水道、火災保険、管理契約など多岐にわたる契約や手続きが必要です。
オーナーとしてのコスト意識も重要です。前のオーナーに確認し、所有物件に付随する契約をしっかり把握し、自分が納得いく契約内容に見直しましょう。
次回の記事では「購入前後に押さえておくべき各種手続きと のポイント part 2」として、」火災保険について詳しくお伝えします。どうぞお楽しみに!